口腔機能訓練
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは
誤嚥性肺炎とは…
食べ物などを飲み込むときに食道ではなく気管の方に入ってしまい、肺で細菌感染を引き起こすことを言います。
・食事にムセる
・以前と比べて飲み込みにくい
→ こんな症状のあるかたは、舌やお口の周りの機能の低下による誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は予防できる!
歯の治療と同様に、舌やお口の周りの機能低下も改善することができます。
今すぐ始められる「3つの簡単トレーニング」で、舌やお口の周りの筋肉を鍛えることにより機能の低下を防いで、毎日の食事を楽しいものにしましょう!
1. 舌のトレーニング
舌の働きは2通りあります。
1. 噛んだものを口の中でまとめる働き
2. 噛んだものを喉に送り込む働き
この舌の働き(機能)が低下すると、
・食べ物がまとめにくくなります。
・食べ物の通り道にあたる食道に送り込む力が低下します。
だから…舌の力を鍛える必要があるのです。
1. 舌のトレーニング/舌の力(舌圧:ぜつあつ)を測定してみよう
舌圧計を使って舌の力を計測してみましょう
JMS舌圧測定器
「舌圧プローブ」と呼ばれる小さな風船のようなものを、舌で上顎に押しつぶし続けます。
1回の検査時間は7秒です。これを3回計測します。
平均的な舌圧(ぜつあつ:舌の力)は、30kPaです。(kPa=キロパスカル)
30kPaより低い数値だと舌の機能が低下しているかもしれません。
→ 舌の力を鍛えるトレーニング用具を使ってみよう!
1. 舌のトレーニング‥ペコぱんだを使ってトレーニングしよう!
ペコぱんだ
舌の筋肉を強化するトレーニング用具です。
ペコぱんだをくわえ、トレーニング部分を舌で繰り返し押しつぶします。
トレーニング1:舌の力をアップさせる 高い負荷でのトレーニング
トレーニング2:持久力をつけるための 低い負荷でのトレーニング
ご自身にあった硬さ・トレーニング方法で
効率よく筋力アップをしましょう。
ペコぱんだはブルーSS(極めて柔らかめ) から イエローH(硬め) まで6種類の硬さがあり、舌の力やトレーニングの目標に合わせて選択することができます。
1. 舌のトレーニング/舌圧測定検査は保険が効きます
2018年4月に保険の決まりが変わりで、舌機能の検査が保険で行えるようになりました。
さらに2022年4月には、対象年齢が65歳以上から50歳以上に引き下げられました。
- 対象:50歳以上のかたで 適応する症状のあるかた
- 費用:3割負担のかたで およそ420円
- 対象外のかたでも検査は受けられます
- 費用:自己負担 1,400円(税込)
ゆう歯科クリニックでは、ご自身にあった硬さ・トレーニング方法で効率よく筋力アップをしていただくために、「ペコぱんだ」ご購入前の舌圧測定をおすすめしています。
2. あいうべ体操
・無意識に口で呼吸をしている
・気がついたら口がポカンと開いている
…なんてことはありませんか?
それは口呼吸(こうこきゅう)をしているのかもしれません
口呼吸をしていると、舌の位置が上顎から離れてしまいます。
また本来なら鼻腔内で取り除いているゴミや細菌も、肺に取り込んでしまいます。
→ 口呼吸を鼻呼吸に改善するための運動「あいうべ体操」を行いましょう。
2. あいうべ体操をやってみよう!
「あー」と口を大きく開けましょう
舌を支える筋肉・唇の周りの筋肉・口を開ける時の筋肉を鍛えます
「いー」と口を思い切り横に広げましょう
首の筋肉・エクボを作る筋肉・口角からこめかみにつながる筋肉を鍛えます
「うー」と唇を尖らせて大きく前に出しましょう
口を閉じたり、とがらせたりする時に使う筋肉を鍛えます
*「飲み込み」や「食べこぼし防止」の向上につながります
「べー」と舌を顎先に伸ばしましょう (前に伸ばさない)
舌の筋肉を鍛えます
*「食塊の形成」「食塊の送り込み」「飲み込み」の向上につながります
あいうべ体操は「1日30回」を目標に
無理のない範囲で行いましょう
3. パタカラ体操
年を重ねるにつれて、体の筋肉だけでなく、お口の周りの筋肉も動きが悪くなります。
お口の周りの機能を高めると → 唾液がよく出るようになります。
唾液がよく出るようになると → 舌がなめらかに動くようになります。
舌がなめらかに動くようになると → 食べ物を飲み込みやすくなります。
食べ物を飲み込みやすくなることが、誤嚥を防ぐことに繋がります。
→ 食べ物を喉の奥まで運ぶ動作を鍛える運動「パタカラ体操」をしましょう。
3. パタカラ体操は3種類のトレーニングがあります
1. 単音で行うトレーニング
「パ」「タ」「カ」「ラ」と一音ずつ行いましょう。
2. 連続で発音するトレーニング
「パパパ…」「タタタ…」「カカカ…」「ラララ…」もしくは「パタカラパタカラ…」と連続して行いましょう。
3. 文章で発音するトレーニング
「パタカラ」を含む文を発音しましょう
→ 例文「パンダのたからもの」
パンダの宝物は、パパンダから貰ったラッパ。
歩いてパタパタ、鳴らしてパラパラ。
高かったラッパで、財布の中は空っぽ。
口や舌の準備運動として食事の前に各10回ほど行いましょう
少しずつでも毎日 行うほうが効果があります
簡単トレーニングで食事を楽しく!
最初に説明したように、近年 注目されている「誤嚥性肺炎」の原因は、嚥下に関わるお口の周りの機能の低下が原因です。
でも、歯の治療と同様に、舌やお口の周りの機能低下も改善することができます。
誤嚥性肺炎は予防できるんです。
今すぐ始められる「舌のトレーニング」「あいうべ体操」「パタカラ体操」この3つの簡単トレーニングで舌やお口の周りの筋肉を鍛えることより、機能の低下を防いで、毎日の食事を楽しいものにしましょう。
今からだって遅くない!
いつまでも楽しく食事ができるよう
一緒に簡単トレーニングを始めましょう!