ボツリヌストキシン療法
ボツリヌストキシン療法とは
ボツリヌス菌が産生する毒素(ボツリヌストキシン)が持つ筋弛緩作用を応用して、咀嚼筋に直接注射することで筋の異常緊張を和らげ、歯ぎしりや口腔周囲の不定愁訴を軽減させる治療方法です。
ボトックス注射などと呼ばれることもあります。
歯科では健康保険適用外ですが、医療の分野では健康保険適用で、斜視、眼瞼痙攣(まぶたがピクピクする)、痙性斜頚(肩こりなどで、いわゆる首の回らない状態)、ジストニアなど、さまざまな疾患に利用されている安全性の高い治療法です。
ボツリヌストキシン療法の費用
歯科での刺入は、健康保険適用外ですので、治療費はご自身で全額ご負担いただきます。
保険外診療
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左右咬筋刺入:ボツリヌストキシン40単位
合計 35,000円(消費税込み)
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使用製剤
【A型ボツリヌストキシン製剤】
*薬剤は変更になる場合があります
【参考】
- A型ボツリヌストキシンはボツリヌス菌が産生する物質で、菌自体ではありませんので、ボツリヌス症を起こすことはありません。
- ヒトLD50値(体重70kg):5000単位(2.01jg)です。
- 美容外科で有名なBOTOX(ボトックス)もA型ボツリヌストキシン製剤です。
- Neuronox、Botulax等はKFDA(韓国食品医薬品安全庁)で認可され、安全性も認められていますが、日本では未承認薬となります。
治療の手順
【事前の準備】
- 睡眠中の歯ぎしりの度合いを筋電計検査(健康保険適応)で計測します。
- 事前に治療の詳細について説明を行い、確認書にご署名をいただきます。
- 製剤準備の都合上、施術日をご予約いただきます。
【施術当日】
- 体調を確認させていただきます。
- 刺入部位の皮膚を消毒します。お化粧をされているかたは、刺入部位付近のお化粧等を拭き取っていただきます。
- 刺入部位をマーキングし、刺入の痛みを緩和するためにアイシングを行います。
- 通常片側1筋肉単位に、0.1ccを5箇所(左右合計1cc:40単位)刺入します。
- 軽く揉んで製剤を分散させます。
【術後の注意事項】
- 施術後、血行性拡散を避けるため、多量の飲酒・運動・サウナなどは翌日まで避けてください。
- 注射部位は、翌日まで強く揉まないでください。
経過観察
1週間後
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刺入部位の予後および筋肉収縮の効果を、触診にて確認します。
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3ヶ月後
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再び筋電計検査を行い、効果判定を行います。
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6ヶ月後
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効果の減退度を診断します。
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ボツリヌストキシン療法を受ける前に
禁忌事項
- 妊娠中または、妊娠している可能性のあるかた、授乳期間中のかたは受けられません。
- 妊娠する可能性のあるかたは、投与中および最終投与後2回の月経を経るまでは避妊を推奨されています。
- 男性は投与中および最終投与後3ヶ月は避妊を推奨されています。
術後の注意事項
- 稀に刺入した部位に発赤が起こることがあります。
- 咬筋刺入後に、側頭筋の代償活動による片頭痛が発生することがあります。
- 筋弛緩の効果は一般的に、刺入後1週間頃より発現し、3ヶ月程度持続し、6ヶ月程度で消失します。
- 刺入を複数回行うことで、持続期間が延びるという報告があります。
- 治療効果には個人差があり、十分な効果が得られない場合があります。
治療日に関する注意事項
- 製剤の都合上、同時間帯にお二人の治療を行うため、治療日が未確定になる場合があります。
- 体調不良の場合は治療日を変更しますので、当日の朝までにご連絡ください。