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座右の銘

ゆう歯科クリニックの診療室の一番奥の壁には、開業以来、ずっと和風の額が掛けられています。
その中には、流麗な毛筆でこう書かれています。

人生は出会いがすべてである
心して大切にしたい

この額は、西区にある東海機器工業株式会社という、畳製造機械においてトップメーカーである会社の、当時の会長である木村日出雄さんから開業のお祝いにと頂いたものです。
木村さんは実家の父と面識があり、そのご縁で、当院が開業するときにはたいへんお世話になりました。

額をいただいたときには「立派な書を頂いたから飾っておこう」と思っていた程度でしたが、年月を経て、多くの患者さんやスタッフと出会い、かけがえのない縁が育まれていくうちに、書の意味の深さに気づき、いつの間にかその言葉が私の座右の銘になっていました。
そして、私たちを見守ってくれているようなその書と、それを贈ってくださった木村さんへ、いつも感謝の気持ちを持ちながら診療を行うようになっていました。

その木村さんが、先月の10月9日、89歳の生涯を終えられました。
開業の際にお世話になっただけでなく、開業以来18年に渡り、ずっと患者さんとして当院に通ってもくださいました。
治療にいらした時には、私だけでなく、スタッフのみんなにも元気に声をかけてくださっていたことを思い出し、もうあのお声を聞くことができなくなってしまったのかと思うと、とても寂しく、例えようもなく悲しい気持ちになりました。

今日、2012年11月26日に、会社が主催されたお別れの会に、私も参列してまいりました。
式次第に書かれた、木村さんの経歴などを拝見し、最後のページに差し掛かった時です。
思わず手が止まりました。
なんと、お祝いに頂いた書は、木村さん自身の座右の銘そのものだったのです。
自分が大切にしている言葉を、当時まだ30歳になったばかりの新米に贈るなんて、とても粋な計らいじゃないですか!
かっこよくて、ありがたくて、思わず嬉し涙が溢れました。

木村さんの大きな遺影を見上げ、献花を捧げつつ、改めて、この言葉を次の世代に伝えていきたいと強く感じました。伝えていきたいというよりは「伝えていかなければいけない」という気持ちでしょうか。
これからはこの言葉は私が伝えていこう!と心に決めて、会場を後にしました。
木村さん、本当にありがとうございました。


2012.11.26更新